いや〜、楽しかった。思いっきり振り回されちゃったよ。
映画『イニシエーション・ラブ』は、乾くるみさんの恋愛小説が原作となっている。2004年に単行本が発行、2007年に文庫化されミリオンセラーになっている原作は「映像化不可能」とも言われていた。でも、出来上がった今回の映画を観た原作既読の人があっと驚き、絶賛しているらしい。
僕は原作をまだ読んでいない状態で映画に臨んだ。そして、鑑賞後にすぐ原作小説を読みたくなった。僕が感じた疑問は「この話をどうやって文章で書いてるの?」ってこと。
この記事は、原作を読んでおらず、映画も未だ観ていない人を意識して書いたつもり。
身構えて臨むも、恋愛映画だった。
I Love Trading | Der Blog für zukünftige Trader
最後の5分、全てが覆る。あなたは必ず、2回観る。
そんなこと言われたら、身構えちゃうよね。
でも、個人的には僕が序盤に1ヶ所違和感を感じただけ。穿った見方をする前に恋愛ストーリーに入り込んだ。あとから振り返ると、よくも画面に堂々とあんなもの映していたなあ、と思った*1。全体としては、素直に恋愛映画としてストーリーを楽しんだよ。
悪魔ような、天使のような。キャスティングの妙。
映画ポスターでは、主人公の鈴木と恋人のマユの2人の顔。ポスターのなかでこちらを見つめるマユの表情は何やら悪魔のような微笑み。しかし、ストーリーが始まると僕はそんなことすっかり忘れていた。
この映画では魅力的な2人の女性が登場する。
マユ
前田敦子さん演じるマユはとってもカワイイ女性。
- おっとり癒し系
- 読書好き
- 人間性 > 外見
- 歯科助手
うぉー、天使や!惚れてまうやろー!
登場シーンでスローモーションや、主観(主人公目線)でマユを画面に捉えるなどの演出も全然嫌味じゃない。むしろ心地よい。好きです。付き合ってください!
美弥子
一方、木村文乃さん演じる美弥子も素敵な女性。
- 都会的な洗練された女性
- 知的なトーク
- ドライ、割り切り
- 内に秘めたパッション
うぉー、クールビューティー!惚れてまうやろー!
会社の同僚にこんな人いたら仕事が楽しみなりそう。残業を手伝うなんて大歓迎だよ。僕タッチタイピングできるよ、まかせといて。で、終わったら飲みに行こうか!
いやー、2人ともに魅力的。この映画のキャスティングは凄いハマっているように思う。美弥子役の木村文乃さんは上記のような役柄ピッタリの美人で、土下座してお願いするレベル。マユ役の前田敦子さんはさすが元アイドル(AKB48センター)だけあって、超美人じゃないけど惹きつけられ目が離せない存在感。
重なる想い、重なる時間。
主人公の鈴木が、はじめての恋人のために無理して頑張る、勉強するっていう初々しさが、過去の自分の体験と重なってきて、こそばゆくも面白かった。あの頃みんなはじめはこんな感じだったよね、と。
主人公の気持ちの揺れもひどく共感してしまった。序盤「マユしかあり得ない」→中盤「美弥子エエ感じ」→終盤「なんかマユ気になる」という想いにシンクロ。
僕の人生ではこんな贅沢な2択はなく、自分が二股できる立場になったことは全くない。映画のストーリーではいろいろ重なっていて痛々しい。
80年代の音楽と、時代あるある満載。
この映画で描かれる時代は1980年代。画面に登場する服装や小物、自動車、建物など、時代を象徴するファッションが反映されていて、40歳代以上の世代とってはそんな時代もあったね感が溢れている。若い世代にとってはピンと来ない描写だろうけど、ストーリーは問題なく楽しめると思うのでご安心を。
音楽も郷愁をかきたてる。劇中使用された曲に、堤幸彦監督が選んだ曲を加えたコンピレーションアルバムも発売されている。
ディスク:1
- SHOW ME (劇中登場曲)
初恋
約束
揺れるまなざし (劇中登場曲)
君は1000% (劇中登場曲)
ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER
街角トワイライト
Yes・No (劇中登場曲)
フレンズ
秘密の花園
Lucky Chanceをもう一度 (劇中登場曲)
すみれ September Love
NEVER
Never Say Good-Bye
愛のメモリー (劇中登場曲)
あの夏のバイク
君だけに
CHA-CHA-CHA
ディスク:2
- 木綿のハンカチーフ (劇中登場曲)
SACHIKO
Rain
DANCE (劇中登場曲)
激しい雨が
哀愁のカサブランカ
夏をあきらめて (劇中登場曲)
シャイニン・オン 君が哀しい
そして僕は途方に暮れる
摩天楼ブルース
心の色 (劇中登場曲)
恋人よ
思い出は美しすぎて
恋におちて -Fall in love-
ルビーの指環 (劇中登場曲)
悲しいね
イヴの夜
SHOW ME (REPRISE) (劇中登場曲)
いや〜、懐かしい!
現在40歳の僕にとって1980年代というのは、小学校〜中学生くらいの時期。イニシエーション(通過儀礼)には程遠いガキだったけど、音楽や映画やテレビドラマで時代の雰囲気を感じながら、恋するココロを勉強中だった。
今ではカセットテープを目にする機会もなくなり、もはやCDですらデジタル配信に置き換えられる時代になった。僕自身も、所有していたCDは既に手放していて、音楽はMacとiPhoneに入っているiTunesライブラリに集約されている。
まとめ
映画のキャッチコピーがあんな感じなので構えるかもしれないけど、素直に恋愛映画としてストーリーを楽しんだらいいと思う。
若い時のちょっと小っ恥ずかしい恋愛を思い出しながらニヤニヤが止まらなかった。心の汚れきったオッサンの僕でも、胸がときめいた楽しい2時間弱だった。ダマされた?いやいや、あの表情がいいんでしょ!
(2015-09-01追記)Blu-ray、DVDは12月2日発売で予約受付中になっているけど、9月1日現在、パッケージ画像がまだ無い……「映像化不可能」だから?(2015−10−13追記)。パッケージ画像もきっちり入っている。
*1:ある場面ではかつて観たテレビドラマを思い出し、すっかり思い込んでしまった。テレビ東京系列で放送されていた深夜ドラマ『モテキ』。主人公のダメっぷりと、やたら長いキスシーンが印象的。森山未來さんが羨ましい。
▼後に映画版も。主人公はちょっとだけ成長する。豪華女優陣とキスする森山未來さんがやっぱり羨ましい。
▼音楽もイイ!青春だ!