2016年12月4日(日)15時35分キックオフ「J1昇格プレーオフ」の決勝戦。これは、J1リーグに昇格できる最後の1クラブを決めるために、J2リーグ戦の第3位から第6位の4つのクラブが争うトーナメントの最終戦。僕が応援する地元岡山のJリーグクラブ・ファジアーノ岡山は、この決勝の舞台にとうとう辿り着いた。
この決勝戦がはじまる時点で、前日にはJリーグ年間王者を決める「J1リーグチャンピオンシップ」が終わっており、当日12時30分キックオフの「J2・J3入れ替え戦」も終わっている。2016年のJリーグの試合としては一番最後に残っているのが「J1昇格プレーオフ」の決勝戦なので、日本のサッカーファンの注目度の高い試合だと言える。この試合は、普段Jリーグの試合を放送してきたスカパー!だけでなく、一般視聴者が無料で観られるNHK-BSテレビでも生中継された。
振り返ってみると、この試合を含めたおよそ1ヶ月間は、ファジアーノ岡山とともに挑戦する夢と興奮に溢れた1ヶ月だった。
- J2リーグ最終節を前にしてプレーオフ進出と平均1万人以上を懸けた緊張
- 11月20日ホーム最終戦スタジアムで見た光景
- 11月27日プレーオフ準決勝パブリックビューイングで味わった興奮
- そして12月4日プレーオフ決勝へ臨む岡山の高揚。
残念ながら決勝戦の結果は、ファジアーノ岡山が敗れて、惜しくもJ1昇格は実現しなかった。
既にあの日から1ヶ月経って、2017年になってしまった。悔しさ、喪失感、一方で感謝、期待。いろいろな想いが整理しきれていないけれど、やっぱり自分なりに記録しておきたいと思って。ひとつ間違いなく言えることは、素晴らしい経験だったということ。
ホームスタジアムでのパブリックビューイング
いよいよ迎えた「J1昇格プレーオフ」の決勝戦は、セレッソ大阪のホーム・キンチョウスタジアムで開催された。この日の入場者数は17,086人だったが、そのうち約3,500人がファジアーノ岡山のサポーターだったという*1。
現地に行けない人のために、今回は岡山のホームスタジアム・シティライトスタジアム(Cスタ)でもパブリックビューイング(PV)が開催され、Cスタのメインスタンドには約2,800人のサポーターが詰めかけた*2。僕はそこに参加して観戦してきた。
▼いつもの岡山駅西口(運動公園口)にあるファジアーノ懸垂幕のかかったNHK岡山放送局の入っているビル。この日はここもPV(NHK用語としては「受信公開」と言うらしい)会場になっている。
▼いつもの奉還町商店街のファジアーノ順位表示幕。この日、表側の順位表示はないが、裏側は前週のプレーオフ準決勝の結果をバッチリ表示。この日は奉還町商店街でもPV会場が設定された。
▼雨の中を歩いてCスタに到着。いつもの入り口・Aゲートから入場。この日のPVではメインスタンドが無料開放。準決勝に勝って、このPV実現のために奔走してご協力いただいた皆様に感謝!ちなみに僕は開場予定30分前に到着だったけど、既に入場できる状態だった。
▼ポスター。「1万人達成!」「プレーオフ進出!」「決勝進出!」という熱い流れ。
Challenge1 次のステージ1へ あと1つ!応援よろしくお願いします!
▼会場では既にスカパー!の中継が。12:30キックオフの「2016 J2・J3入れ替え戦」第2戦・ツエーゲン金沢vs栃木SCの試合が生中継。結果は、今季J2のツエーゲン金沢が2戦合計スコア3-0(1-0、2-0)でJ2残留を決めた。
▼誰もいないピッチ。でもスタンドには数千人。
▼いよいよキックオフまで、およそ1時間。
▼さすがにこの日は、スタジアム前広場のファジフーズはないけど……
▼コンコース内売店では飲み物・食べ物販売していたよ。
▼スタンドには多くのサポーターが集まってきた。こちらは屋根のあるエリアで観戦だけど、現地の大阪もで冷たい雨、そこで戦う選手やサポーターの健闘を祈り、念を送る。
▼PV注意事項。PVをCスタで実現できたこと、各方面へ大感謝!
■パブリックビューイング開催にあたり、各関係者さまのご理解とご協力により開催することが出来ました。本日は、会場係員の指示に従って多くの皆様と一緒に熱い応援ができるよう、会場運営にご協力をよろしくお願いいたします。
■「鳴り物」応援は禁止となります。
■飲食は可能です。但し、ゴミ等は各自でお持ち帰りください。(メインスタンド側2階コンコースで飲食販売中!)
■近隣の商業施設等への無断駐車はおやめください。
試合開始が近づき、現地の応援と連動するようにPV会場でも手拍子で盛り上がる。
そしてついに15時35分にキックオフ。
試合中は観戦に集中していて、写真を撮る余裕はなし。
以下は試合結果。
▼試合結果ハイライト。前半スコアレス、後半に1点奪われ、そのまま0-1で敗戦。セレッソ大阪さん、やはり強かった。
C大阪vs岡山のマッチレポート・動画(J1昇格プレーオフ:2016年12月4日):Jリーグ.jp
▼現地ドキュメンタリー動画。スペシャルな試合には、スペシャルな公式動画もつくられるんだなあ。
▼こちらはPV会場になったCスタの試合後の模様。スタッフの上條さんが挨拶に立つも、途中で言葉に詰まる。スタンドからはファジアーノコール。無念と感動が入り混じったこの場面に居合わせて、心打たれ、グッとこみ上げてくる。
@ishiharaken スタッフの方から挨拶、ファジアーノコール。このあと会場ではghostnoteの『夢』が流れていました。 pic.twitter.com/YdXmsr3eHN
— 石原 健一郎 (@ishiharaken) 2016年12月4日
▼試合後会場に流れていた音楽は、ロックバンド・ghostnote(ゴーストノート)の曲「夢」*3
▼ああ、本当にシーズンが終わった。勝ちたかったが、やはりまだ足りなかった。誰もいないピッチとスタンドを見ながら、大きな喪失感を味わっていた。
▼それでも、この12月の最後の最後までいい試合を見せてもらえて幸せだった。
ご来場ありがとうございまいた。
こちらこそ、ありがとうございました!
▼すっかり暗くなるなか、スタジアムをあとにするのも今年最後。また来年、よろしく。
▼岡山駅通路のファジアーノディスプレイ「1万人でつかみ獲れ」。そうだ、ぜひ来年も1万人超えよう。そして次のこそは次の1へ。
今年たどり着いた場所から、あとどれくらいの距離だろうか?
「悲願のJ1昇格」というが、どちらのクラブにとっても「悲願」には違いないはず。
ファジアーノ岡山の場合は、J2リーグで戦い続けて8年目で、クラブとしては未だ国内最高峰リーグであるJ1リーグでの経験はない。2012年からスタートした「J1昇格プレーオフ」によって「6位に入れば昇格のチャンスがある!」ということで目標として戦ってきたが、今年になってようやくはじめてプレーオフ出場することができたという状況。まだ経験したことのない舞台で、行ったことのない場所を目指して進む挑戦者。
一方、セレッソ大阪の場合は、1995年にJリーグ加盟(当時はJ2はない)以来、3度J2降格決定を経験(2001年、06年、14年)している。逆に、J2からJ1への昇格決定は今年を含めて3度目。昇格と降格を繰り返すことの是非は別にして、ファジアーノ岡山に比べると明らかに経験豊富で実力も上だと思う。しかも、2015シーズンでは第4位で臨んだプレーオフ決勝では、第3位のアビスパ福岡に引き分けてJ1昇格を逃すという苦い経験をしていた。今回の決勝には並々ならぬ決意で臨んできたはずである。スタンドのセレッソサポーターが掲げるパネルに「ノルマ」という言葉も見えた。
リーグ戦第6位のファジアーノ岡山が準決勝の劇的勝利の勢いのまま優勝、というシナリオもイメージできたけれども、やはりそんなに甘くなかった。今回は、セレッソ大阪の実力はもちろん、決意・覚悟・想いの総量が上回っていたのだと思う。
それでも、悔しい。今年、勝ちたかった。
積み重ねた年月、積み重ねたシーズン、積み重ねた試合。特に今年揃っていた選手たちの顔ぶれを見ていると、開幕前から期待も高まった。開幕後も好調を続けて、終盤になかなか勝てなかったけど最後は過去最高の第6位でプレーオフ進出を勝ち取った。難しいと言われた平均入場者数1万人以上という目標を達成できた。決勝戦までの1ヶ月は、岡山の地域全体に「うねり」があった。
2016シーズンは確実に過去最高の実績を残した。しかし、まだJ1の舞台には届かなかった。たどり着いた場所から、来季はあとどれだけ進むと夢の舞台に届くだろうか?あと一歩で得られなかった悔しさを、1年で晴らすことが出来るだろうか?あるいは低迷を覚悟しなければならないかもしれない。
揺れる感情のなかで、一貫して変わらないものは、この経験を味わえたことへの感謝。だから、これだけは声を大にして言いたい。
ファジアーノ、ありがとう!そして僕は、決勝戦6日後の12月10日「ファン感謝デー」に行くのだ!
*1:敵地の雨中激闘に3500人声援 「来季こそファジをJ1に」: ファジアーノ: スポーツ: 岡山エリア: 山陽新聞デジタル|さんデジ
*2:PVで2800人がファジ応援 温かな拍手でイレブンたたえる: ファジアーノ: スポーツ: 岡山エリア: 山陽新聞デジタル|さんデジ
*3:ghostnoteは岡山県出身の3人で結成されたロックバンドで、現在はもう1人メンバーが加わった4人で活動している。この曲「夢」はファジアーノ岡山のイメージソングとして採用されており、まさに「日本一」を目指すクラブとサポーターが追いかける「夢」と重なる曲。ホームゲーム時のスタジアムで流れていたり、地元テレビ・ラジオ関連番組などで使用されれているので、ファン・サポーターにはお馴染みの曲ではないかと。
▼ちなみに、こちらのCDにも収録されているよ。