岡山「うねり」のリーダーとフォロワー - 2018 J2第7節ファジアーノ岡山vs愛媛FC 観戦

去る4月1日、試合が終わったシティライトスタジアムのピッチ上で、木村正明さんが代表退任の挨拶をされた。エイプリールフールの嘘ではなく、現実だった。

ファジ木村前代表が別れ告げる 退任セレモニーで「全てに感謝」: 山陽新聞デジタル|さんデジ

プロスポーツ不毛の地だった岡山に、プロサッカーJリーグクラブ・ファジアーノ岡山が根付いてきた。地元の日常の隣にプロスポーツに触れ合える環境を作ってきた12年間、この一連のムーブメントが維持できていることは、木村さんの存在なしには成し得なかったことは間違いがない。

木村さんが代表を努めた12年間に対して、僕は2014年頃から観ているまだ日の浅いファン歴だと思っている。そんな僕にとっても、株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブを率いる木村さんの存在は、絶対的なリーダーであり、心の拠り所だった。だから、寂しいけれども、大きな感謝の想いを抱いている。本当に「ありがとうございます」と言いたい。1

岡山地域におけるファジアーノ岡山のムーブメントについて、2016年当時の岩政キャプテンがブログで「大きなうねりが必要」と表現していたのが印象深く、思い出される。

まだまだ歴史も浅い私たちファジアーノ岡山がこの夢を叶えるには「普通」ではいけません。そこには大きなうねりが必要です。常識を打ち破ることが必要です。   
 
岡山の皆さんへ | 岩政大樹オフィシャルブログ「No Pain No Gain」Powered by Ameba

ファジアーノの歴史の早い段階から、木村さんが「うねり」のリーダーだったのは間違いない。しかし、「うねり」=ムーブメントを脈々と受け継ぎ、振幅を大きくし、範囲を広げるためには、リーダーだけでは足りない。リーダーに共感して、一緒に「うねり」を作ろうとするフォロワーがいなければ。

岡山にある「うねり」が、今後どうなるだろう?とイメージしながら、今回の記事では2018年4月1日(日)にシティライトスタジアム(Cスタ)で行われた2018シーズンJ2第7節ファジアーノ岡山vs愛媛FCの試合日を振り返った。そして、最後にリーダーとフォロワーの関係をちょっと思いを巡らせてみる。

岡山駅から徒歩約20分

▼Cスタのちょっと南には花見スポット

便利なスタグル

先行入場列

ファジステージ、大忙し

加地さん vs 小松アナ

※ ↑タイプミス。正しくは「皿洗い職人・加地さんが、RSK小松アナと登場!」

木村さん vs 中尾さん

※ ↑補足。「代表就任時に役員で話し合ったファジアーノの30年ビジョンは、3年でJリーグ入り、7年で活動拠点、10年で平均入場者数1万人、15年でサッカー専用スタジアム、20年ですべてのスポーツのスクール、30年ですべてのスポーツスクールの無料化。基本的に自力で取り組む。しかし、(世界中どこのクラブもそうだが)練習場とスタジアムだけは自治体の協力が欠かせない。今後専用スタジアムのためには……」という文脈。

晴れの国おかやま観光PRキャラバン隊

岡山0-1愛媛、今季初黒星、入場者数9,117人・シーズン平均9,261人

▼夢パスでのお誘いプロジェクトも始まって、子どもたちが増えたらいいな!

▼今節入場者数は9,117人。なかなか1万人に届かない……。これでシーズン平均は9,261人。

▼DAZNハイライト動画

木村さん 挨拶

挨拶前の木村さん。はじめマイクが不調だったのはご愛嬌

リーダーとフォロワーが生み出す「うねり」

冒頭に書いた「うねり」について、インターネットでよく紹介されていたTED Talk動画が思い起こされたので紹介したい。デレク・シヴァーズ氏による「社会運動はどうやって起こすか」という題名の、3分間のプレゼンテーション。

このプレゼンテーション自体は2009年のもの2だけど、岡山におけるファジアーノ岡山というムーブメントと符合するポイントが多くてとても興味深いなと感じている。

少し引用してみる。

最初にリーダーが 勇気を持って立ち上がり 嘲笑される必要があります
でも彼の行動に続くのは すごく簡単です ここで最初のフォロワー(追随者)が 重要な役割を担っています みんなに どう従えば いいか示すのです

地元岡山のために立ち上がった木村さんと、初期の選手・スタッフ・サポーターの姿に、リーダーとフォロワーの形が重なる気がする。

過小評価されていますが 実はリーダーシップの一形態なのです こんな風に目立つだけでも 勇気がいります 最初のフォロワーの存在が 1人のバカを リーダーへと変えるのです (笑) (拍手)

「1人のバカ」というのは、まさに「岡山バカ」木村さんかな(笑)

本当に運動を 起こそうと思うなら ついて行く勇気を持ち 他の人達にも その方法を示すことです スゴイことをしている 孤独なバカを見つけたら 立ち上がって参加する 最初の人間となる 勇気を持ってください

卓越したリーダー(=卓越したバカ、かもしれない)を見つけたら、一緒に踊ってみよう!

そう、当事者になること。

木村さんは、この4月1日の試合前にファジステージでトークショーで語っていたことが思い出される。

それは、応援してくれるファン・サポーターが、どれだけクラブやチームのことを「自分事」として考えてくれるかということ。試合で勝ったり、1万人達成したりしたときに、「おめでとう」と言われることは、「他人事」かな?と思ってしまう、と。だから、何事も一緒に喜び、苦しみ、共に歩く仲間を増やしたいんだ、と。

僕は、そんな想いを追いかけて、これからもついていってみたいなと思っている。うまく踊れているかわからないけど、一緒に踊るのは楽しいよ!

これから何年後か分からないけど、木村さんが外から見て「前よりも楽しそうだなあ、早く戻りたいなあ」と思ってもらえるよう、「うねり」が続いてほしいなと願っている。