「防災の日」に第3回作品検証会議実施。 – 映画『シン・ゴジラ』鑑賞

毎年9月1日は「防災の日」。この日を含む1週間は「防災週間」として防災知識の普及イベントや防災訓練が実施される*1

僕はそんな日に、日本が大災害に見舞われる空想特撮映画『シン・ゴジラ』を鑑賞した。

記事のタイトルには、作品のノリにあわせて「会議」と入れてしまったけど、実は1人で映画を見に行っただけ。強いて言えば、同じ劇場に集った人たちと一緒に作品に向き合った「会議」。そして、僕にとって3回目の鑑賞ということで「第3回」。

この記事では、なるべくネタバレせずに、僕の3回分の鑑賞記録と若干の感想を書き留めておきたい。

予告編

2016年7月29日に劇場公開された映画『シン・ゴジラ』は、事前情報をシャットアウトして一般向けの試写会も行われなかったらしい。公式に出ている予告編に見える断片的な情報をもとに公開日まで期待を膨らませたいったのだ。

▼『シン・ゴジラ』予告

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▼『シン・ゴジラ』予告2

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不穏な雰囲気がビンビン伝わる。本編を見たうえで予告編を振り返ってみると、決定的な描写は排除されているのがわかる。本編を体験してはじめて感じるあの恐怖と絶望感……。それにしても、ポップな主題歌がつかなくて安心した。

この映画は、現在の日本に突然ゴジラがやってくるというフィクションでありながら、大災害に直面する様をリアリティを感じさせる描写でグイグイ引き込まれる。

結果として、公開されるやインターネットでは評判の書き込みが溢れ、評判が評判を呼び、今年の夏の大ヒット中の映画になった。

<リンク先ネタバレ注意>インターネットでは絶賛のクチコミにとどまらず、映画世界のファンアートも溢れている。

「シン・ゴジラ」の人気イラストやマンガ(1000件超)| pixiv

<リンク先ネタバレ注意>「発声可能上映」(声だし可、サイリウムの持ち込み可、コスプレ可)イベントや「シン・ゴジラ 女性限定鑑賞会議」イベントが実施された。

庵野秀明、『シン・ゴジラ』発声上映会に登場!チケット7分売り切れに不満も?「3分なら…」 | cinemacafe.net

『シン・ゴジラ』白熱の女性限定上映を徹底レポート! 「水ドン」裏話も – KAI-YOU.net

約1ヶ月経った9月1日現在も多くの劇場で公開中。そして、僕自身は今のところ3回鑑賞した。僕と同様に、あるいはそれ以上に、複数回リピートする人が続出している映画『シン・ゴジラ』。昨年夏に公開の映画『マッドマックス/怒りのデス・ロード』に似た現象かも*2

第1回検証会議 IMAX版 / 日時:平成28年8月7日午後3時50分 於:109シネマズ大阪エキスポシティ(大阪府吹田市)

この映画に対しては、僕自身は公開前から大いに期待していたのだけど、訳あって鑑賞できたのは公開日から9日後の8月7日になってから。鑑賞日まではネタバレを避けるためにインターネット上の『シン・ゴジラ』情報を極力遮断して過ごした。

実は8月7日は、ある国家試験を受験するために岡山から大阪に行っており、その試験終了後に現地で初鑑賞(=第1回検証会議)することにしたのだった。

会議開催場所は、昨年オープンした商業施設・大阪エキスポシティの中にある「109シネマズ大阪エキスポシティ」。この新しいシネコンで体験したいのは、何と言っても日本最大級のIMAXシアター。日本最大級のスクリーン(高さ18m超、横幅26m超)、4Kツインレーザープロジェクター、12ch次世代サラウンドシステムといったワクワクするスペック。昨年から既に体験済み*3なので、今回の映画『シン・ゴジラ』での迫力再現には期待しかないのだ。

▼すごい造形のゴジラさんがお出迎え。

▼ニッポン対ゴジラ。

▼IMAXシアターへ突入。

会議の結果は……期待を裏切らない迫力!やはり巨大不明生物は、巨大なスクリーンで体験するのが正義!

第2回検証会議 通常版 / 日時:平成28年8月22日午後4時45分 於:イオンシネマ岡山(岡山県岡山市北区)

前回大阪での第1回検証会議は、僕にとって非常に消耗を強いられた中での開催だった。高速バスによる移動、2日間に渡る試験、猛暑の中の移動。シビアな日程をこなした後だった。それでも、疲れを吹き飛ばす至福の時間、超満足して終えることができた。

第1回の余韻を引きずりながら、僕の日常は徐々に平穏を取り戻しつつあった。しかし、の映画は情報量が多い。まだまだ情報消化どころか、情報摂取も不十分に感じる状況。

そこで第2回検証会議開催が決まり、第1回から15日後の8月22日に設定された。今回の開催場所は、地元岡山駅前にあるショッピングモール・イオンモール岡山*4のなかにある「イオンシネマ岡山」。

ちなみに、この日は月曜日で、イオンシネマでお得に映画を観られる日につき誰でも1,100円。いろいろサボって夕方から映画館へ行った。

▼なるべくスクリーンサイズの大きそうな回を選択。イオンシネマ岡山では6番か7番あたりが大きいかな。

第2回であっても大興奮の体験だった。第1回以降インターネットの「祭り」的情報を収集してからは、確認すべき箇所多し。あの人がここに出ていたのか、ここでこんなの出てた、とか。まだまだ噛みごたえある作品だなあ。

第3回検証会議 MX4D版 / 日時:平成28年9月1日午後2時40分 於:TOHOシネマズ岡南(岡山県岡山市南区)

特撮映画ゴジラシリーズの第1作目は1954年(昭和29年)に公開された『ゴジラ』*5。日本映画では最大手企業「東宝」が生み出した映画。会社情報ページでも、ゴジラさんがフィーチャーされている。ならば、一度はTOHOシネマズさんで観ておくべきかと勝手に考えていた。

『シン・ゴジラ』公開から1ヶ月あまりが過ぎて迎えた9月1日。この日は「防災の日」、そして映画が1,100円で観られるファースト・デーでもあったので、またもや諸々の用事をサボって平日の昼間から。

第3回検証会議は、岡山市南区にあるシネコン「TOHOシネマズ岡南」に於いて開催。

▼MX4D版に挑戦。今作では3Dメガネは掛けないけど、ガンガン動くよ。

▼MX4Dは、座席が動いたり、風が吹いたり、背中を叩かれたり、水がかかったり、煙出たり、匂いがしたりなので、荷物はロッカーに入れて、ポップコーンや飲み物は本編始まるまでに済ませておくのが吉。

流石に第3回になると展開は把握しているけど、MX4D版の演出が加わるとゴジラの恐怖が増幅される。映画の内容としても、ゴジラシーンだけじゃなく、会議/会話シーンも多くあるので、全体的にメリハリがついた演出でちょうどいいかも。

▼そして、第3回において、ついにパンフレット(税込¥850)を購入!

▼「ネタバレ注意」の帯は両面テープでガッチリ封印されている。これホントにネタバレしてるので、必ず映画鑑賞後にどうぞ。

▼封印が解かれた『シン・ゴジラ』パンフレット。内容は映画観てから、自分で買って確かめてね!*6

強いコンテキスト。2016年に生きる僕が心揺さぶられる理由。

この映画『シン・ゴジラ』には、ハリウッド映画的スーパーヒーローは登場しない。

画面で主に活躍するのは、政治家や官僚、自衛官、消防官、海上保安官、警察官、協力企業社員など。あくまで組織で危機に立ち向かう姿が描かれる。

一方で、市井の人々のサバイバルシーンは多少あるが主軸じゃない。家族愛のストーリーは展開しない。恋愛要素は皆無。

一般市民にスポットが当たらないことへの意見もあるみたいだけど、僕は庵野総監督をはじめとした制作陣が妥協なしに作りこんだんだろうなと嬉しくなる。しかも「ヱヴァっぽさ」全開、作家性丸出しでニヤリ連続である*7

でもそれ以上に、僕の心を揺さぶったのは、日本が危機に直面する描写が極めて生々しく感じられたこと。

2011年3月11日以降の日本を経験した僕たち*8にとっては、1954年『ゴジラ』と2016年『シン・ゴジラ』で大きな差がある。

これはどんな映画でも言えることだけど、映画の印象は、鑑賞者の知識・経験・心情が大きく影響する。そして、2016年に日本で公開された映画『シン・ゴジラ』は、日本に暮らす多くの人にとって5年前の出来事を否応なしに思い起こさせる。3.11という強烈なコンテキストのうえで、多くの人がこの映画を観て、思わず人に語りたくなってクチコミが広がっている部分もあるのではないか。

僕たちが日常生活で依存している技術、社会、行政、政治などのシステムが、崩れていく恐怖や絶望。一方で、困難な状況に命がけで立ち向かう勇気を持つ人たちがいる。リアルに目撃したことが、映画でなぞられることで、追体験したような気持ちになり、複雑な感情を抱く。

この映画を観てから、福島第一原発における任務に臨んだ消防官の講演を思い返し、再びその動画を観た。

▼東京消防庁ハイパーレスキュー隊を率いて臨んだ当時の警防部長・佐藤康雄氏によるTEDxSeeds 2011でのスピーチ「命を懸ける勇気の源」。

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3.11で日本が経験したのは、地震・津波・原発災害からなる複合災害。地震・津波は自然災害だが、原発災害は純然たる自然災害ではない。人間の技術が生み出し、恩恵ももたらしたが、脅威にもなってしまった。映画で描かれるゴジラも純然たる自然災害ではなく、ゴジラ自身がまとう悲しい雰囲気さえ感じさせる。それは1954年も2016年も変わらないテーマだと思う。

現在日本における強いコンテキストを持ち、文明社会に生きる僕たちが普遍的に抱えている恐怖や絶望、そして勇気を表現してくれた映画『シン・ゴジラ』は、2016年の大傑作なのである。

(2016-09-30追記)4度目も観た。

https://ishiharaken.com/entry/2016/09/21/shin-gozdilla-4times

*1:「防災の日」及び「防災週間」について

*2:僕のブログで書いた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』関連記事。

https://ishiharaken.com/entry/2015/06/30/000043

https://ishiharaken.com/entry/2015/07/25/141401

https://ishiharaken.com/entry/2015/12/21/010720

https://ishiharaken.com/entry/2016/02/12/120000

*3:IMAX関連過去記事。ここには昨年来『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観るために何度か遠征済み。

https://ishiharaken.com/entry/2016/01/07/235500

https://ishiharaken.com/entry/2015/12/21/010720

https://ishiharaken.com/entry/2015/12/16/235940

*4:2014年末の開業以降、すっかり岡山駅前の人の流れを変えてしまったショッピングモール。数百メートル離れた場所にあるイトーヨーカドー岡山店は閉店することになってしまったし。

▼この記事は2014年グランドオープン当時のもの。駐車場事情などは変わっていて、2016年9月現在の駐車料金体系は、何も買わなくても平日なら3時間無料、土日祝は1時間無料になっているので、自動車で行きやすくなっている。

https://ishiharaken.com/entry/2014/12/06/191810

*5:僕は1954年版『ゴジラ』をまだ見たことないのだけど、今回の2016年の『シン・ゴジラ』ではかなりオマージュがあるようなので、いずれ元の作品を確認してみたい。

ゴジラ (1954)

ゴジラ (1954)

  • 本多猪四郎
  • 日本映画
  • ¥2000

ゴジラ

ゴジラ

*6:パンプレットもいいのだけど、9月20日に発売されるというこちらの本も大いに気になる。

*7:もしヱヴァンゲリヲンをまだ観たことない人がいたら、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年公開)と映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009年公開)あたりをオススメ。

この新劇場版シリーズは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年公開)まで公開済みで、次に完結編として『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(公開日未定)が制作中。『シン・ゴジラ』も無事完成し大ヒットなので、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの完結にも期待しよう。

*8:もちろん、その時日本のどこにいたかによってその経験は大きく違う。僕の3.11や災害に関連する記事。

https://ishiharaken.com/entry/2015/03/11/211922

https://ishiharaken.com/entry/2015/01/17/160314

https://ishiharaken.com/entry/2014/07/12/161836

https://ishiharaken.com/entry/2016/03/11/162527